「バミ祭り」を終えて~其の四

随分と時間が経ってしまったのですが、バミ祭りのご報告が途中でストップしていたので、なんとか年内に(と言うより大晦日に・・・)”其の四”です。

これまでコンサートの前半をご報告してきましたが、ここでは休憩後の後半をお伝えします。

休憩中は前半のマリンバ・トリオで使ったC~C5オクターブのマリンバを、お客様の前で「解体ショー」と称して分解、搬出しました。

これはショーをやりたかった訳ではなく、後半のセッティングでどうしてもスペースが足りなくて苦肉の策だったのですが、出演者とスタッフ そして有難き打楽器奏者のお客様の手もお借りして大きな楽器が目の前で消えていく様子を初めて目の当たりにしたお客様からは、大変面白かったとの感想をいただきました。

後半の最初の曲は1993年のリサイタルで委嘱初演した、中川俊郎 作曲「(増幅された……)鉄琴のための音楽」。

約20年前、初めてのリサイタルということで大学で先輩だった中川さんにお願いした曲の楽譜をいただいて、「グロッケンと電磁治療器を使用・・・??衣装は緑のウェットスーツ??サングラスも・・・???ライティングも指定あり、即興的要素もたくさん!!」、とビックリしたのでした。

結局あの時は緑の服は着なかったのですが、サングラスをしたのだったか自分でもすっかり忘れていて、今回なるべく衣装も曲に忠実にいこうと思っていました。

でも時間はどんどん本番に近付き、ウェットスーツを手にするのはなかなか難しくて、とにかく緑の上下の服を探そうとネットで調べまくり、たまたま行ったユニクロで今まで見なかった緑色の服が見つかり早速購入しました。

本番ではライトも暗かったために動画を撮ったものの私の姿は見えず、光の点が二つあるだけ。(実際にはもっと見えたらしいのですが・・・)

で、リハーサルのときの写真がこれ。

初演の時はしっかりと音が明確に書かれている1~2ページは唯一普通にマレット4本で演奏するのですが(ここが不思議な美しさを感じる部分なのです!)、それ以外の即興要素の濃い部分(でも書かれている)はどこをとっても「これでいいのだろうか?」、と自分で確信が持てなかったのを覚えています。

鉄パイプを電磁治療器の上に置いてノイズを鳴らしたり、グロッケンを金属で擦ったり、グロッケンの上に釘のような小さな金属を落としたり・・・、これらの経験がその後の即興演奏でグロッケンを使用する原点となったことは確実です。

そして20年経った今、書かれている即興的要素の意味が理解できることに驚きました。

外国語を耳にしてチンプンカンプンまったく意味がわからなかったのに、学んだという意識も無く、子供が外国で暮らしていたら喋れてしまうように、気が付いたら言葉の意味がわかるようになっていた・・・、そんな感じでした。

そしてわかってみると、この曲がどれだけ面白い要素を沢山秘めていたか、今になって本当にわかったようです。

演奏にも当然のように反映されていたと思います。

初演のときのお客様の反応で一番印象に残っているのは、今は亡き叔母の言葉で、電磁治療器の上に載せた鉄パイプが振動で床に大きな音をたてて落ちたのを気にして「智子ちゃん、本当にかわいそうでハラハラしちゃったわよ。」というものでした。

おそらく今回は「なんじゃ、これは?」と思いながら聴いてくださった方は沢山いらっしゃると思いますが、ハラハラはしなかったのではないかと思います。

私の即興のルーツにもなったこのユニークな作品を作曲し、今回再演するにあたり加筆し、リハーサルにも快く立ち会ってくださった中川さんに心から感謝です!!

そしてライティングやセッティング、曲の指定になるべく合うように当日力を貸してくださった門天ホールの黒崎さん、アンサンブルマレットの那須さん小田さんに感謝します。

この曲は、またこれからも時々演奏して、私の中で熟成させたいと思っています。

いつかまた聴いていただけたら嬉しいです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です